<企業倒産>経営者個人の破産が必要な場合、不要な場合|知らずに損する“連動リスク”【新宿エリア|弁護士が解説】

 「会社を破産させるなら、社長である自分も自己破産しなければならない」 多くの経営者様が、このように思い込んでいらっしゃいます。

しかし結論から申し上げますと、「会社破産=社長の自己破産」とは限りません。 法律上、会社と経営者個人は完全に別の人格であるため、会社が破産しても経営者個人が当然に破産するわけではないのです。それにもかかわらず、なぜ多くのケースで「同時に破産」が選択されるのか。そこには「連帯保証」という連動リスクが深く関係しています。

本記事では、会社破産に伴い「経営者個人の破産が必要なケース・不要なケース」を明確に整理し、知らずに選ぶと大損するリスクや、個人破産を回避するための最新の解決策について解説します。


❶| 「会社破産」と「個人破産」の連動リスクとは?

なぜ「会社と個人は別人格」なのに、経営者の破産が問題になるのでしょうか。その原因の 100% 近くが「経営者保証(連帯保証)」にあります。

中小企業が銀行から融資を受ける際、またはオフィスの賃貸契約や取引先との基本契約を交わす際、ほぼ確実に経営者個人が「連帯保証人」になることを求められます。

◉恐怖の連動メカニズム

  • 会社が破産手続きを始めると、会社自体の債務(借金)は消滅します。
  • しかし、消滅した債務の牙先は、すべて連帯保証人である「経営者個人」に向きます。
  • 銀行や債権者は、会社から回収できなくなった数千万円、数億円という残債を、社長個人に一括請求します。
  • 個人の資産(自宅や預貯金)では到底支払いきれないため、結果として経営者個人も自己破産を余儀なくされる。

これが、会社破産と個人破産が「連動」してしまう仕組みです。裏を返せば、連帯保証がなければ、会社がどれだけ巨額の借金を残して倒産しようとも、社長個人が責任を負う必要は一切ありません。


❷| 経営者個人の破産が「不要」な3つのケース

まずは、会社が破産しても、社長が自己破産をしなくて済む(すべきではない)ケースを見ていきましょう。

① 会社の債務に対して「連帯保証」をしていない

極めて稀ですが、近年は政府の方針(経営者保証ガイドラインの普及)により、経営者の個人保証なしで融資を受けられているケースが増えています。また、親から会社を引き継いだものの、個人の保証サインをしていない場合なども該当します。この場合、個人の資産は完全に守られます。

② 連帯保証債務を、個人の資産で「全額弁済」できる

会社の負債が数百万〜数千万円程度であり、経営者個人の預貯金や、自宅などの資産を売却することで、保証人としての責任をすべて果たせる場合です。借金を完済できるのであれば、当然、破産する必要はありません。

③ 「経営者保証ガイドライン」を活用できる場合

これが現在、最も注目されている手法です。一定の条件(会社と個人の資産が明確に分離されている、誠実に情報開示しているなど)を満たせば、自己破産をしなくても、法的に個人の保証債務を免除・減額してもらうことができます。 このガイドラインを利用できれば、破産という形式をとらずに、自宅や一定の現金を残しながら債務を整理することが可能です。

 


❸| 経営者個人の破産が「必要(避けられない)」なケース

① 個人のキャパシティを遥かに超える連帯保証債務がある

会社の借入総額が億単位にのぼり、個人の資産をすべて投げ打っても到底返済しきれない場合です。この状態で破産を拒み続けると、一生涯、債権者からの激しい督促や給与・資産の差し押さえに怯えて暮らすことになります。

② 資金繰りのために「個人の名義」で多額の借り入れをした

会社の枠を超え、社長個人のクレジットカードで事業資金を決済したり、消費者金融(カードローン)や親族・知人から「個人として」お金を借りて会社につぎ込んでいた場合です。これらは会社の破産とは関係なく「個人の純粋な借金」として残るため、個人破産でクリアにする必要があります。


❹| 知らずに損する!個人破産の「誤解」と「真のメリット」

「自己破産をすると人生が終わる」というのは大きな誤解です。むしろ、適切なタイミングで個人破産を選ぶことには、再起のための大きなメリットがあります。

◉誤解:身ぐるみを剥がされ、今後の収入もすべて奪われる?

事実: 破産しても、今後の生活に必要な「99万円以下の現金」や家電製品などの生活必需品は手元に残せます。 また、破産後に稼いだ給料は100%本人のものになり、差し押さえられることはありません。

◉誤解:戸籍に載る、選挙権がなくなる、家族に迷惑がかかる?

事実: 戸籍や住民票には一切載りません。選挙権もそのままです。家族が連帯保証人になっていない限り、家族の資産や信用情報に影響が出ることもありません。

早期に会社と個人の同時破産を決断すれば、「手元に生活資金(最大99万円など)を残した状態で、合法的にすべての借金をゼロにし、明日から新しい仕事で再出発できる」という、最大のセーフティネットを受け取ることができるのです。

 


■まとめ|あなたにとっての「最適解」を考える

会社が危機に瀕したとき、経営者様が守るべきものは「会社という箱」だけではありません。ご自身と、ご家族のこれからの生活を守ることこそが最優先されるべきです。

個人の破産が必要なのか、それとも「経営者保証ガイドライン」等を使って回避できるのかは、保証契約の内容や資産の状況、そして何より「相談のタイミング」の早さによって決まります。手遅れになって個人の資産まで全て強制的に差し押さえられてしまう前に、まずは当事務所へご相談ください。

いずみ法律事務所は、経営者様が背負った重荷を法的に正しく降ろし、笑顔でリスタートを切れるよう、全力を尽くしてサポートいたします。